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‘A Sky Full Of Stars’ (Coldplay) クリスのGhost Stories解説和訳 戸惑うウィルを説得するクリス(動画とその補足)

“Ghost Stories A Sky Full Of Stars

クリス・マーティンによるGhost Stories各曲解説なんちゃって訳シリーズ第四弾。

今回は “A Sky Full Of Stars” です。


“A Sky Full Of Stars” の解説の一部はこちらのビデオにあります。

 

その日本語訳がこちら ⇒ コールドプレイ、アヴィーチーがコラボを引き受けた時の様子を詳細に語る (2014/11/20) | RO69


音声インタビューを聞いてみるともっと色々話していて、順番もだいぶ違うので、引用させていただきながら補足していきます。他のバンドメンバーのことも話していて面白いですよー♪





「この曲はその時点で"ア・スカイ・フル・オブ・スターズ"と呼ばなきゃならないとわかってて、それはなんでかというと、無償の愛についての曲じゃないとだめだからなんだ。」

RO69


「そしてどんなに難しくても、自分に起こっていることを、それは起こるべきことだったんだと受け入れるということ。また、開放されるような曲にもなってほしかった。飛んだり跳ねたりできる曲ならなおさらいい。なぜなら…」


「この曲は実はEDMに触発されたのがきっかけだったんだ。なかにはバカにしてる人も多いけど、実際にEDMの現場に行くと、誰も彼もがみんな一つになって最高に楽しんでるのがわかるんだよね。だから、ぼくは人がなんと言おうと、こういう世界観を持ってる曲をやりたいって思ったんだ。」

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「それでいて、僕にとってすごく意味のあるものについて歌いたかった。だからもちろん使い捨てなんかじゃないよ。」


「この曲はこれまでぼくたちが書いてきた曲で一番大切な曲なんだ。歌詞的にね。というのも、この曲を歌う度に、『うん、確かにこういう風にぼくは生きたい』って思えるからなんだ。」

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「この曲を書くのに、あるいは受け取るのに長い時間がかかった。『どんなことが起ころうとそれを受け入れる』ということが言いたかったんだ。地球上で最悪のバンドだと思われようと、それはそうなるようになってたんだよ。実際そう言う人達いるしね。だからたくさんの祝福があるはずなんだ。

この曲が大好きなんだ。自分たちの音楽のことを大好きだっていうのはかっこ悪いって分かってるけど。」


「すごく暗いところから始まった曲で、曲として最後に書かれることになって、でも、この曲はずっと書かれたがってて

RO69


(↑ のの部分、続きを聞くとちょっと違って聞こえます。)

「お願い、この曲を僕に送って!みたいな感じで、長い間(自分が)この曲を求めていたんだ。すべてOKだって言っているような曲をね。なぜなら…」


ほかの曲がどんどんいろんな旅を潜っていくことになって、でも、その過程が必要だったんだよね。 扉が開いていくようなことなんだよ。日が昇るのを待ち受けるような感じでね。」

RO69


(ここも「なぜなら他の曲がこの旅(アルバム全体)をくぐり抜けてきて、僕達にはこの曲(A Sky Full Of Stars)が必要だったから。」ということだと思います。それが「日の出に向かって扉を開くようなもの」だと)


「"ア・スカイ・フル・オブ・スターズ"が閃いたのは夜の11時半くらいのことで、7分くらいで書き上げたんだ。」

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「夜の11時頃は自由を感じるんだ。誰も困らせないからね。誰も僕を必要としないし、他にするべきこともない。ヒーローたちの影響かもね。クインシー・ジョーンズでも誰でも、そういう人達は夜働くのが好きなんだ。

何かがあるんだよ。ただ静かで、手の届かない空間により繋がりを感じるんだ。

他の人に聞かれることを心配しちゃいけない。カチッとスイッチを入れないといけないんだ。どこに向かうとしても付いていくっていうね。

そして時々行き止まりになってしまう。いまいちよくなかったり、馬鹿げたことを歌っていたり。だから自分自身を自由にしないといけない。」


「正直に打ち明けると、実はたくさんケイティ・ペリーを聴き続けてたんだ。」

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「彼女がDoctor Lukeと一緒にやった曲ね。」


「ケイティの曲はずっと同じコード進行がただ続くことが多くて、だから、身体はすごく曲に馴染んで、その上に違うメロディがあって、グルーヴには乗りながらメロディはなんか面白いっていう、すごいアプローチだと思うんだよね。でも、よく考えてみたら、いろんな人が同じことをやっていることに気づいて、ニルヴァーナの" スメルズ・ライク・ティーン・スピリット"みたいな名曲でも、やっぱりずっと同じコード進行なんだよ。だから、そこにはすごくシンプルな形があって、ぼくもそういう、ずっといつまでも弾いていられるような、そういう自分なりのコード進行を探し出さなきゃならなかったんだ。それがある時みつかって、これだって思ったんだよ。」

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「それからそのコード進行を弾き続けて、どういうメロディが上に乗っかってくるか様子を見てみようと思ったんだ。

たしか水曜日だったかな。僕はロサンゼルスにいて他のメンバーはロンドンにいた。その後一週間くらい会う予定はなくて、でも曲が出てきちゃって、どうしても録音してデモを作りたかったんだ。翌日 The Village というスタジオに行って、彼らに電話したんだと思う。

僕はこの曲で飛んだり跳ねたりしたいってすごく思ってたんだけど、僕たちはそういうのが得意ってわけじゃないから、ティム(アヴィーチー)に電話しようってなったんだ。すごく素敵な人なんだよ。」


「それでアヴィーチーに会いに行って、曲を見せて、これに手を貸してくれないかなってお願いしたんだ。するとアヴィーチーはキャップを後ろ前に回して『もちろん、できるさ。お代は1200万ドル(約14億2000万円)になります』って言ったんだ(笑)」

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「いや言ってないよ(笑) アヴィーチー・ヴァージョンの最初の部分をやってた時は一緒にいたんだけど、その後彼はアヴィーチーのバットケーブ(バットマンの隠れ家)に篭ってしまった。そこに入るのは許されないんだ。彼が何を企んでいるのか分からないんだよ。」


「やり方はまずアヴィーチーが完全なアヴィーチー・ヴァージョンをやって、それからぼくたちが完全なコールドプレイ・ヴァージョンを作ってその二つの部分部分を一つに織り合せていったんだよ。だから、何時間分ものテープを使ってずっとテトリスをやってたようなもんだよね。道理で時間もかかるわけだよ(笑)」

RO69


「これを試したりあれを試したり。料理するのに一番時間がかかったよ。アルバムの流れにあてはめないといけなかったんだ。

ウィルが『僕達すごくパーソナルなアルバムを作ってると思ってたんだけど』って言ってきたんだよ(笑) 『これ素晴らしいけどさ、どうやってフィットさせるの?』って。

構成を組み立てていたところだったんだけど、『終わる間際に入れたいんだ。よし、手放そうって言えるところでね』と話したんだ。」


「それにコンサートで演奏を続けていれば、ある時、ぼくのわだかまりも消えて、ただ踊ろうって思えるようになるはずだってわかっていたからね。」

RO69

(「コンサートで演奏を続けていれば」のところは、「アルバム全体を演奏したら」ということですね。)


「それをウィルに話したら、僕達のドラマーね。彼は、『オーケー。分かった』って言ってくれた。何のためにやっているのか分かってくれてからは、どうフィットするのか彼らに見えてきたんだ。」


「正直に言って、この曲を演奏するのは本当に楽しいんだ。

ソングライターとして、特に歌手として駆け出しの頃は、賛同* を期待する面があると思うんだ。曲作りの技術も磨かないといけないけど、パフォーマンスをする必要があって、賛同を得る必要があるって。運がよければ、そういうことはやっていくにつれて消えていく。

賛同によって幸せになるのではないと気づくからね。幸せになるのは曲を演奏していて、みんながその曲に夢中になっている時なんだ。」

(追記) *「賛同」じゃなくて「是認」の方がよかったかも。元の単語は "approval" です。


「これまでのところ"ア・スカイ・フル・オブ・スターズ"をライヴでやってると、すごい一つになる感じがあるんだよ。『もうほかのことはどうでもいい、今はただ歌いたい』っていうね。」

RO69



最後のこの部分はMidnightの解説で語っていたことです。

「たとえば、今世の中で起きているいろんなことを見て、どうしてこういうことになってるんだろうって腑に落ちないことばっかりなんだよ。世の中はもうクレイジーだよね。ぼくにだってどうしてなのかはわからないよ。でもね、この宇宙からはなにか大きなものが最後には生まれるということを信じる気持ちがないと結局、諦めることになって、みんなにとって徒労なだけになっちゃうよね。それはすごく悲しいことだよ。」

RO69



✂--------クリスの解説ここまで--------

 

ここから勝手な感想ですが、ウィルのクリスに対する信頼というか、優しさが、なんだか泣けてくるんですよね。もし他のアルバムだったら、即却下されてたんじゃないかと思うんですが(笑) あ、曲のことじゃなくて、このヴァージョンのことです。


October 2, 2014 / submitted by Sarah, United Kingdom

Q.  Hi dear Oracle,
We know that Chris had to convinced the band to include A Sky Full Of Stars in Ghost Stories.
Do you know why? Was the song written at the end of the Ghost Stories' process?
Cheers.

THE ORACLE REPLIES >

They tried ASFOS many ways and Will, Guy & Jonny weren't completely convinced by the version that Chris was determined to release. It is one of the first times that Chris was so adamant that they finally relented and agreed on the version. I have to admit, I wasn't sure either but Chris was right.

I believe it was written later in the session because Chris describes the song as being the light at the end of the tunnel; a happy ending of hope if you will. He said all the other songs lead to ASFOS.


Oracleも「クリスが譲らなかったから他のメンバーが折れた」と書いています。そして私も正解だったと思う。一曲だけ聞いた時は、へ??と思いましたけど、アルバムの中で聞いたらしっくり馴染むのが不思議。

アヴィーチーバージョンは以前聞けたけど、「完全なコールドプレイ・ヴァージョン」も聞いてみたかったです!


とここまで書いて、Ghost Storiesはクリスのためのアルバムで、特殊な位置にあるのかな?Mylo Xylotoの後もともと作っていたもの、作ろうとしていたものは、次のアルバムで聞けるんじゃないかな?と妄想をふくらませていたのですが、Twitterでmickeyさんが5thと6thは動と静でリンクしているのかなぁって話をされていて新鮮でした。言われてみればすごくしっくりきます。

それから、ジョニーは「Ghost Storiesは昼の前の夜のようなもの」とも言っていて、ガイも「Ghost Storiesを録音している時からA Head Full Of Dreamsを念頭に置いていた」と言っていた* ので、その2つの関係性も興味深い。ストーリーがどう完結するのか、A Head Full Of Dreamsが楽しみです。

* 参照 コールドプレイの次回作『A Head Full Of Dreams』が「最後のアルバムになる」という噂に対するメンバーの発言まとめ+アルバムの作風とツアーについて


最後に、ニューアルバム&ツアーに関して、Global CitizenのイベントでのRolling Stone誌のインタビューより。

毎回毎回2年間のツアーに出ないことにしたのは、友達同士のグループとして健全なことだった。今はみんなツアーに出たくてたまらない。

コラボなのか、プロデューサーのことなのかは分かりませんが、「本当にすごい人たちと一緒に働いている」とも。長い間スタジオで過ごして、曲もたくさん出来てきて、いい時間が過ごせているようです♪





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